MIT留学でダニエル一家は何を思ふ
三十路ダニエルがMITで勉強する意味はあるのか/二重国籍者の留学とは何なのか/ハンドボールについて何を思ふのか/アメリカ・日本について何を思ふのか
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ダニエル

Author:ダニエル
ダニエル(夫):MITエンジニアリング修士課程に社費留学中、アメリカ生まれの二重国籍、趣味ハンドボール、レッドソックスにわかファン
サクラ(妻):米国企業の日本法人を辞めて渡米、でもアメリカ苦手、2年間で好きになれるか
ハロルド(長男):ダニエルに外見も中身もうりふたつ、慎重派な3歳児
ジョン(次男):ハロルドの若かりし頃にそっくりの、ボストン生まれのハッピーボーイ

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日本ハンドボール界の今後を思ふ(3)
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(MITのケーブルテレビにも宮崎大輔が登場しました!)

ハンドボールの北京オリンピック予選再戦が終了しました。男女とも韓国に敗れ、オリンピック出場権獲得はなりませんでした。試合会場にも行っていなければ、テレビでも見ていません。両日とも朝早く(5時!に)起床して2ちゃんねる(!)の実況を見ていただけなので何とも言えませんが、ランニングスコアだけをみると男女ともに完敗のようでした。男子は「惜敗」などともニュースで報じられていますが、常に韓国に3,4点差のリードを保たれるという、典型的な負けゲームだったと思っています。韓国にはユン・キョンシンだけではなく、ペク・ウォンチョルもいましたね・・・

もちろん、残念でなりません。このブームのときに、オリンピック出場権を獲得できていれば・・・、と残念でなりません。

ただ、それ以上にハンドボールのポテンシャルを感じました。

今回の男子の試合は1万人以上が代々木の体育館に駆けつけたとのこと。チケットが40分で完売したとのこと。徹夜組も出たとのこと。マスコミにも多く取り上げられたのこと。インターネット上もハンドボールのニュースであふれています。

日本でもハンドボールで盛り上がることができる!、という点は大発見です。

かねてからポストしているように、私には、「ドイツのような雰囲気」で、「ハンドボール」の試合を、特定のチーム/選手を「応援」したい、というささやかな夢があります。もしかしたら、私の夢はかなうかもしれない、私の残り人生50年のうちには、日本でハンドボールがメジャーになるかもしれない、などと思っています。甘いかもしれませんが、今回の盛り上がりは、私に大きな希望を与えてくれました。

そして、今思うこと、それはただひとつです。

ハンドボールの日本協会さん、ここからが勝負です!!

今回の盛り上がりが一時的なものであることは、十分に承知しています。ただ、今後のやり方次第では、世間の注目を引き続き多少は維持していくことも十分に可能だと思っています。そして、徐々に成長していくこともできるでしょう。そして、それは、日本協会が今後どのような手を打つかにかかっているのではないでしょうか。

1997年、熊本での世界選手権で多少は盛り上がった際、日本協会は次の一手が出せずに、結局盛り上がりを維持できなかった、という批判をよく耳にします。同じ失敗の繰り返しはいけません。日本協会さん、頑張ってください!代表監督はこのままですか?今春の日本リーグのプレーオフは、どこでどのようにやるんですか?・・・

ふと日本協会の役員の名簿をみると、知っている名前が半分ぐらいですが、私の高校時代の恩師の名前もありました。先生、頑張ってください!

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(プロジェクト・ゴールド Projekt Gold のDVD)

今回の女子の試合のまさに前日に、タイムリーにドイツからDVDが届きました。タイトルは「プロジェクト・ゴールド Projekt Gold」。それは、昨年のドイツでの男子ハンドボール世界選手権で優勝したドイツチームのドキュメンタリー映画のDVDでした。私の高校にもコーチに来てくれたという、ドイツで活躍中の植松伸之介選手のブログでその存在を知りました。実際にドイツでの世界選手権を観戦した私としては、何よりの記念に手元に置いておきたい、という強い希望のもと、あちらの担当者とメールでやり取りをして、ようやく購入できたものです。(問い合わせから手元に届くまでに、2ヶ月以上かかりました・・・)

とにかく、感動しました。高いお金を出して買った甲斐がありました。

感動したシーンが3つあります。1つは、決勝戦を前に、ドイツチームが宿泊しているホテルから会場までバスで出発するシーン。沿道がドイツ国旗を掲げたファンで埋め尽くされていました。そして、それを見たバスの選手たちが気持ちを引き締めていました。1つは、ドイツがポーランドを破って優勝したあとの表彰式。あの紙ふぶきとシャンパンの演出は見事でした。1つは、最後の最後にケルンの大聖堂(?)に上った選手たちが集まった観衆に応えるシーン。ドイツの正GKフリッツが国旗を振るところにはえらく感動しました。

まさに、私の希望している世界がありました。日本でも今後50年のうちに、こうなって欲しい、強く思いました。そして、私もその中に、加わりたい。

日本協会の人はもちろん見ていると思いますが、大量購入して、ハンドボールの魅力を伝えるために関係者に配布するというのはどうでしょうか。ハンドボールファン、必見です。

頑張れ、日本ハンドボール!!
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テーマ:ハンドボール - ジャンル:スポーツ

ハンドボール北京オリンピック予選再戦を思ふ
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ハンドボールの北京オリンピック予選が、中東の笛を理由に、再度行われることになりました。ハンドボールマニアの私としては、ポストせずにいられません。

何より、これは日本ハンドボール界にとってまさに千載一遇のチャンスです。

日本でこの再戦が少々話題になっていることが、アメリカにも伝わってきます。連日のように、ヤフーニュースに取り上げられています。ヤフーニュースにハンドボールが取り上げられることなど今まではほとんどなかっただけに、驚くばかりです。

また、今回の試合はテレビ(衛星放送ですが)の生中継はもちろんのこと、一万人の観客が見込まれるとのこと。チケットは40分で完売したとのこと。そして、そのチケットが、オークションにかけられているとのこと。すごいです。驚くばかりです。喜ぶばかりです。

そして、空前の?宮崎大輔選手ブーム?今年のTBS筋肉番付でも1位に輝いていたとのこと。彼への注目度もピークに達しているのではないでしょうか。

「ここで韓国に勝利して、北京のオリンピックに出場すれば・・・」と思わずにいられません。ハンドボールのメジャー化の起爆剤になるかもしれません。いや、なってほしい。

昨夏の予選ではユン・キョンシンひとりに大活躍されたことを思い出しました。逆にいえば、ユンさえ抑えることができれば、勝利できるかもしれません。そろそろ勝とうよ、韓国に。

試合は1月30日。奇しくも私が昨年ドイツで世界選手権を観戦したのも1月30日でした。

今まで日本のハンドボール界での伝説の一戦とは1997年熊本の世界選手権でフランス相手に1点差で敗れた試合であると勝手に思っています。私も観戦しました。

でも、この韓国戦が新たに伝説の一戦になるポテンシャルを持っていると思います。勝利して、伝説の一戦にしてほしい。そして、その伝説の一戦に立ち会えなかったことを後悔させてほしい。

再度ボストンから本気で応援します。2ちゃんねるの方、実況お願いします。

GO JAPAN!

テーマ:ハンドボール - ジャンル:スポーツ

エノラ・ゲイを思ふ
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ワシントンDCのスミソニアン航空宇宙博物館別館で、広島に原爆を落としたB29、エノラ・ゲイを見てきました。

一昨夏にデイトンの博物館で長崎に原爆を落としたB29、ボックス・カーを見たときに思ったこと、それは、「皆に注目される場所に展示されているのがせめてもの救い」ということでした。

しかし、今回のエノラ・ゲイは・・・

決して目立つ場所とは言えませんでした。他の多くの航空機たちに埋もれていました。

そもそも、なぜ「別館」にあるのでしょうか。ワシントンDCのいわゆる観光スポットからは遠く、ダレスの空港からシャトルバスに乗らないとたどり着けないような辺鄙なところにあるのでしょうか。

エノラ・ゲイは、本館に目立つように展示してほしい。そして、原爆の事実を風化させないようにしてほしい。そのような目的でなければ、このB29は展示するべきものではないと思います。

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「別館」には、試験で使ったスペースシャトル・エンデバーがありました。スペースシャトルを見られるだけでも、別館に足を運ぶ価値はあったと思いました。 エノラ・ゲイを本館に戻しても、別館への客足は変わらないと思います。

テーマ:アメリカ合衆国 - ジャンル:海外情報

ニューイングランド・ペイトリオッツを思ふ(さらに続)
1月12日、懲りもせずにニューイングランド・ペイトリオッツの観戦にジレットスタジアムに行ってきました。今シーズン3回目。対戦相手はジャクソンビル・ジャガーズ。プレーオフ第2戦(第1戦シードのペイトリオッツにとっては、プレーオフ初戦。)でした。

今回の観戦が今までとは決定的に違うところ、それは、なんと1階席!

試合前には近くまで行ってペイトリオッツの練習風景を間近でみることができました。トム・ブレイディもよく見えました。ランディ・モスは、音楽にノリノリでした。ブルースキーは、気合入りまくりでした。

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感想を一言で表すと、「こいつら、狂ってる・・・」。

「こいつら」とは、周りの観客のことです。ほとんどがシーズンチケットホルダーであったと思います。3階席の観客たちとは比べ物にならないほど、「凄み」がありました。

まず、席に座りません。チャンスのときも、ピンチのときも、基本的に立っています。せっかく席があるのに。

そして、「楽しんで応援している」というよりは、「真剣に」応援していました。私の隣にいた双眼鏡!を首からぶら下げた50代くらいの男性は、ペイトリオッツの守りの際には、「ディーーーフェーーーンス、ディーーーフェーーーンス」とずっと叫んでいました。今でも耳に残っています。

昨秋のワールドシリーズのスタジアムには「華」がありましたが、このジレットスタジアムには「泥臭さ」だけがありました。

正真正銘のフットボールファンを間近で感じることができ、改めてアメリカでのフットボールの盛り上がりを実感しました。今回は大満足の観戦でした。

ただ、ミーハーな私としては、泥臭いフットボールより、華のあるベースボールかな・・・。

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この試合はブレイディの活躍もあり、31-20で勝利。次戦も勝利したので、Undefeatedのまま、残るはスーパーボールだけになりました。

GO PATS!!

テーマ:NFL - ジャンル:スポーツ

75パーセントが終わりました「ボストンで差別を思ふ」
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平和なボストンにいながらも、ときどき「差別」のようなものを意識してしまいます。

先日は、NBAのボストン・セルティックス対ヒューストン・ロケッツの試合の観戦に行ってきました。お目当ては、ロケッツのエースであり、中国のスーパースターであるヤオ・ミン選手でした。

会場での中国人観客の多さとともに、彼に対するブーイングの大きさには驚いてしまいました。

特に、我々の前に座っていた若者たち。ヤオ・ミンが選手紹介されるところから大ブーイングでした。

前半のヤオ・ミンの調子はイマイチで、審判にファールを取られることが多かったのですが、ヤオ・ミンが判定に不服そうな素振りを見せるものなら、さらに大きなブーイングでした。

このブーイングの理由は、彼が敵チームのエースであるからに違いありません。そして、それがすべての理由であって欲しいと思っています。また、審判の判定が公平であったことを願います。

しかし、もしかすると、彼が中国人だからブーイングがすごい、というように考えてしまう自分がいます。彼が中国人だから審判の判定が厳しい、というようにも考えてしまいます。

特に、大ブーイングをしている若者たちを見ると、そのように思ってしまいました。

また、昨夏に引っ越していきましたが、寮の同じ棟に我々にとても無愛想なアメリカ人がいました。すれ違っても、ろくに挨拶もしてきません。

自分のことは棚に上げて、「あいつはアジア人を差別している」、などと思ったりしました。

また、こちらでは酒類を購入する際に年齢を証明するIDの提示を必ず求められますが、運転免許証でない場合には、断られることが度々ありました。アメリカ政府発行のグリーンカードでも、マサチューセッツ州発行のMass IDでも。

断られたときに思ってしまうこと、それは「アジア人だから差別しているな」、ということです。

いずれの場合も、それが「差別」によるものなのか、確かなところは分かりません。でも、「差別のせいだ」、とどうしても考えてしまいます。差別問題の難しさを実感しています。

今日はマーチン・ルーサー・キングの日でした。

テーマ:アメリカ生活 - ジャンル:海外情報

75パーセントが終わりました「MITのカレッジスポーツを思ふ」
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MITのカレッジスポーツを意識させられる秋学期でした。

アメリカの大学のカレッジスポーツの盛り上がりには、ただただ驚くばかりです。新聞の一面を飾ることも少なくありません。フットボールやバスケットボールを中心に、テレビ放送も充実しています。

しかし、MITのカレッジスポーツは・・・。聞いたことがありません。もちろん、見たこともありません。どんなリーグで、どんな活躍をしているのでしょうか・・・。

とにかく、非常に残念でなりません。

MITがライバル視している超エリート校のハーバードでさえ、大盛り上がりのようです。エール大学のフットボールの一戦は、伝統の一戦らしいです。ボストン大学やボストンカレッジは全国的にも強豪らしく、キャラクターグッズがダウンタウンで販売されています。マサチューセッツ大学なども、ときどき新聞に取り上げられています。

MITのカレッジスポーツが新聞で取り上げられているところなんて、見たことがありません。

MITのカレッジスポーツのチーム名が、「エンジニアズ」であるということを、最近知りました。ハーバードはクリムゾン、ボストンカレッジはイーグルス、ボストン大学はあのブルドック、ということは、かなり前から知っていました。

とにかく、非常に残念でなりません。

テーマ:留学 - ジャンル:海外情報

75パーセントが終わりました「ボストンのプロスポーツを思ふ」
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ボストンのプロスポーツを意識させられる秋学期でした。

まず、ボストンにはアメリカ4大プロスポーツがそろっています!野球のレッドソックス、バスケのセルティックス、アメフトのペイトリオッツ、そして、アイスホッケーのブルーインズ。

しかも、どの会場もアクセスしやすい!我が家からは、フェンウェイパーク(野球):歩いて30分、TDバンクノースガーデン(バスケ、ホッケー):電車で30分、ジレットスタジアム(アメフト):車で1時間。ジレットスタジアムは少々遠いですが、巨大なアメフトのスタジアムということを考えると、まだよい方でしょう。

詳しく調べたわけではありませんが、4大スポーツがそろっていて、かつ、そのどれもにアクセスしやすいという都市は、決して多くはないのではないでしょうか。

また、ニューヨークやロサンゼルスのように、1都市に野球だけでも複数球団存在しているということもありません。どのスポーツも1チームだけです。ボストン市民全員が、ひとつのチームを応援します。街全体でひとつのチームを応援する、すばらしい限りです。

しかも、今年は強い!レッドソックスはワールドシリーズ優勝、ペイトリオッツは1972年のマイアミ・ドルフィンズ以来のレギュラーシーズン全勝、セルティックスはNBA全チームのなかでも首位独走状態です。(比較すると、プレーオフ争い出場争いをしているブルーインズは少々劣ってみえてしまいます。)この、どのチームも強いという状況は、新聞によると、1969年のニューヨーク(メッツ:優勝、ジェッツ:優勝、ニックス:優勝)、または1980年のフィラデルフィア(フィリーズ:ワールドシリーズ出場、イーグルス:スーパーボール出場、76ers:ファイナル出場、フライヤーズ:スタンレーカップ出場)以来らしいです。チームが強いと、盛り上がりも違います。

プロスポーツが盛り上がっていること、それは紛れもないボストンの魅力のひとつだと思ひます。

テーマ:アメリカ合衆国 - ジャンル:海外情報

75パーセントが終わりました「福知山線脱線事故を思ふ(後)」
事故の発生を受けて、さまざまな対策がとられています。多くのATSを設置したり、運行ダイヤを改善したり、速度計の精度を向上させたり。

しかし、これらはあくまで場当たり的な対策です。(安全研究所の新設を除きます。)

一番重要な点は、「会社全体が危険を危険として認識できるようになる」ことだと思います。

今回の事例でいえば、あのカーブが危険であるということを認識できていれば、この事故は防げていたかもしれません。

学術的には、このような大惨事をもたらす可能性のある状況・危険のことを「ハザード」と呼んでいます。

そして、アメリカでは、このハザードを発見し、排除する、または制御することをハザード・アナリシスと呼び、多くの手法が開発されています。また、ハザードアナリシスを通してシステムの安全性を確保する手法を「システム・セイフティ」と呼び、アメリカのさまざまな業界で実施されています。

システム・セイフティは信頼性工学とは違います。信頼性工学は、個々のパーツの信頼性を向上させることで、システム全体の信頼性を向上させる手法です。

システム・セイフティは安全工学とは違います。安全工学は、主に労働者の安全を確保するための手法です。

JRに必要なものは、このシステム・セイフティにあるのではないでしょうか。安全対策部や建設工事部がシステム・セイフティの概念を理解し、ハザードをハザードとして認識できること、これが重要だと思います。

このシステム・セイフティについては、私がMITで勉強したことのひとつです。こちらでは、"System Safety"という授業さえあります。

しかし、インターネットで検索したところ、日本ではこのシステム・セイフティの考え方は浸透していないようです。

それは、あまりに当たり前だからでしょうか。でも、その当たり前のことが、この会社には一番重要であると考えています。
75パーセントが終わりました「福知山線脱線事故を思ふ(中)」
事故報告書を読み進めるうちに、どうしても、ひとつの疑問が生じます。

「なぜJRは自動列車制御装置ATSを事故のカーブに設置することができなかったか。」

この疑問に答えることが、事故の再発を防止するために一番重要であると考えています。

事故の発生したカーブには、ATS-SWが設置されていましたが、カーブでの速度チェック機能が備えられていませんでした。

カーブでの速度チェック機能を付加することは、決して難しいことではなかったようです。2003年には、会社内の17箇所のカーブに速度チェック機能が付加されています。しかし、この際の基準は「最高速度が130km/h区間の半径600メートルのカーブ」として限定されたため、事故が発生したカーブに速度チェック機能は付加されませんでした。(事故が発生したカーブは最高速度120km/h区間にあります。)

なぜ、「最高速度が130km/h区間の半径600メートルのカーブ」に限定されたのでしょうか。

関係者のひとりが証言しています。「最高速度120km/hの運転は昔からしてきており、危険として認識していなかった。」

ひとつ、驚いたことがあります。

運転士のブレーキ使用開始の遅れ時間が、たった16秒であったということです。

16秒間程度集中が途切れることは、よくあることではないでしょうか。どうしようもない眠気に襲われることもおおいに考えられます。運転士が意識を失うことも、可能性としては捨て切れません。

すなわち、このカーブは、直前に16秒間だけ意識を失うことでこのような惨事が必ず発生する構造になっていたのです。

しかし、会社側はこの危険性を認識できなかった。120km/h運転は安全だというメンタルモデルに固執してしまった。

残念なのは、比較的最近の1991年に最高速度が110km/hから120km/hに引き上げられ、また、1996年にカーブの半径が600メートルから304メートルに縮小されていることです。これらの設計変更がトリガーとなって、カーブでの速度チェック機能を付加することも十分にできたはずです。でも、できなかった。危険と思わなかった。カーブでの速度チェック機能なんて、昔からある技術のようですし、そして高価な改造であるということでもないようです。

お粗末なのは、会社の安全投資の予算は、決して少ないわけではないことです。急に減らされたということもありません。

安全に投資する予算が急にカットされ、その結果、安全投資が不十分であった、というのはよくある構図です。スペースシャトルの事故などは、その典型のようです。

安全に投資する予算はあったのだけれど、その使い道が間違っていた、というのが正しいところなのでしょうか。(他にどのような設備に安全投資していたのかを調べていませんので、はっきりしたところは分かりません。)

もう一つお粗末だったのは、現場の人間も危険性を認識できていなかったということです。事故後のアンケート結果がそのことを物語っています。

現場の人間は危険性を認識していたけれども、上の人間が聴く耳を持たなかった、というシャトル事故の構図は、今回も当てはまりません。

会社内の誰も危険として認識できていなかった。さらにお粗末ではないでしょうか。
75パーセントが終わりました「福知山線脱線事故を思ふ(前)」
福知山線脱線事故の発生から2年半が経ちました。

大規模複雑システムのセイフティを勉強している私としては、この事故から多くのことを学ぶ必要性を感じています。

昨秋の "Human Factors Engineering"という授業では、各人が関心のある事故を取り上げて、スイスチーズモデルに基づいた 'Human Factors Analysis and Classification System (HFACS)"というモデルを適用するという課題があったのですが、迷わずにこの事故を選びました。

昨春の"System Dynamics"という授業では、各人が興味のあるテーマについてシステム・ダイナミクスモデルを構築してシミュレーションを実施するという課題があったのですが、やはりこの事故をテーマに選びました。システム・ダイナミクスの手法を用いてセイフティをモデル化することについては、私の指導教官のナンシー・レベソン教授が提唱しています。

セイフティについて議論する場として私の指導教官が主宰している「コロンビア・ミーティング」に参加させてもらっていますが、今秋、この事故について私が説明し、議論をする場を設けさせてもらいました。MITの教授3人、ボストン大学ロースクールの教授1人を含むメンバー皆、この事故に関心を寄せていました。

このブログの趣旨からは大きくそれてしまいますが、福知山線脱線事故について私が今考えていることについて、ここにポストしておきたいと思います。

まず、航空鉄道事故調査委員会がまとめた事故調査報告書について思ふところがあります。

私はこの報告書を支持します。

この報告書については賛否両論あるようですが、これで十分であり、そして、これが限界だと思います。よく調べられ、そして、よくまとめられていると思います。

最後の建議などについては少々意見が偏っている(運転士に関する事柄が多すぎる)ようにも感じますが、この報告書の本文を読み、自分の頭でよく考えれば、多くのことが学べると思います。

何より、JRの体質を痛烈に批判しています。さらには、国(国土交通省)についてまで言及しています。この類の報告書としては、珍しいことではないでしょうか。このような事故を取り巻くコンテクストを理解することなしに、この事故を理解することはできません。

そして、関係者のメンタルモデルが、インタビューにより、もしくはアンケート結果により詳細に言及されています。メンタルモデル、運転士やエンジニアなどの関係者がどのように考えていたかを知ることは、事故を解析するうえでの必要な情報だと思います。

コロンビア・ミーティングで私の発表を聞いたナンシー・レベソン教授も、「きちんとした報告書なのね」、という感想を漏らしていました。

こちらに来てから授業の一環として、または研究の一環として、数多くの事故報告書を読んできました。この報告書は、その中でも優れている部類に入ると思います。
75パーセントが終わりました
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秋学期も終了し、これで私の留学生活も75パーセントが終了したことになりました。私のアメリカ生活も、残すところあと半年です。

この秋学期、あっという間に終わってしまいました。悪い意味で、惰性で過ごしてしまった気がします。少々反省もしています。

9月は生まれたばかりの次男の世話に時間をとられ、10月はレッドソックスの快進撃に時間をとられ、そろそろ本腰を入れて勉強しようかな、と11月に思うものの、結局は12月に一夜漬けでテスト対策をして終えてしまいました。

やはり3回目ともなると、「馴れ」が生じてしまい、授業に対するモチベーションが下がってしまっている点は否めません。

今思ふ点を、少々ポストしておきたいと思います。

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